早発卵巣不全とサラセミアを乗り越えて|35歳で卵子提供により双子を妊娠
2024/04/12

35歳の曾さんは結婚3年目で、これまで何度も流産を経験されてきました。外見上は元気に見えるものの、心の中には深い痛みが残っていました。
ご夫妻が当院で妊娠前の健康診断を受けたところ、双方が地中海型貧血(サラセミア)のキャリアであることが判明しました。地中海型貧血は単一遺伝子による常染色体劣性遺伝疾患で、キャリアの場合はほとんど症状が現れません。しかし次世代には25%の確率で重度患者、50%がキャリア、25%が正常という遺伝リスクがあり、妊娠中は母体と胎児双方に影響を与える可能性があります。
当初は体外受精(IVF)にPGT-M検査(胚移植前遺伝子検査)を組み合わせる計画でした。しかし検査の結果、曾さんの卵巣機能が早期に低下していること(AMH:0.84)が判明。院長は以下の二つの選択肢を提示しました。
❶ 自身の卵子による採卵:複数回の卵子採取が必要で、胚を集めてPGT-M検査を行います。デメリットは費用が高く、時間がかかること、正常な胚が移植できるとは限らないリスクがあります。
❷ 卵子提供:卵子を受け取り、地中海貧血の遺伝子を持たないドナーを選択します。
曾さんご夫妻は熟慮の末、卵子提供を選択。習慣性流産の経験も踏まえ、蔡院長と詳細な相談を重ねた上で、2つの胚を移植しました。その結果、双子の妊娠に至りました。長年の努力と選択の末に訪れた妊娠は、曾さんご夫妻にとって大切な喜びとなりました。
※ 本記事は事例紹介であり、当院では一人ひとりに合わせたサポートを行っています。






